Vout20V→13.8V設定後Voutが間欠する件 考察と検証と改善方法 @一次制御IC 「UC3843A」の基本特性をデータシートから抜粋  起動開始電圧VCC 9.0[V] (ワーストケース) 起動停止電圧VCC 8.2[V] (ワーストケース) (簡易回路図の観測ポイントA) ★起動開始プロセス概要★ ACラインが投入されると「R3〜R6」の合成抵抗値で「C13」を (上記CR時定数により)充電する。充電電圧が9[V]を超えると ICは能動状態となり約50[kHz]でFETのゲートを駆動する。 FETはトランスのLP巻き線を電圧源(AC100[V]を整流したもの)に対して ON OFFする。 本回路ではONのときLP巻き線が励磁されon時間に比例したエネルギーが トランスに蓄積されOFFと同時にLS巻き線の整流ダイオードを通して 出力コンデンサを充電する。 R47,48は出力電圧を分圧しておりR47両端電圧が2.5[V]でフィードバックループ は平衡する(様にパルス幅制御される) 起動プロセスに話しを戻す。 起動時、以下のプロセスを辿り定常動作に至る。 「C13」が9[V]まで上昇するとICが能動状態となり「C13」の充電 電圧はFETのゲートを駆動するエネルギー他で消費され「C13」両端電圧=VCCは 低下する。 8.2[V]以下に低下する前にLC巻き線に誘起される電圧を整流し「C13」に 重畳されて約13[V]台の電圧となる。このことによりVCCは安定して供給されて 定常状態に至る。 ALC巻き線の整流方法の基礎知識(Vc電圧について) ★フライバック整流とフォワード整流★ (もしかするとこの表現はローカルでしか通用しないかもしれません) 各巻き線の片方に●がついています。これは各巻き線の相対的極性を表現します オリジナル回路ではLS巻き線とLC巻き線が同相で整流されておりこの場合を LCは、「フライバック整流」されていると定義します。 又LC巻き線をクロスさせて入れ替えるとLP巻き線と同相になり(LSとは逆相) この状態での整流を「フォワード整流」と定義します。 トランスの各インダクタンスはLCRメーターにより LS=19[μH],LP=730[μH],LC=8.6[μH]です 上記値から各巻き線比は NP:NC:NS=9.2:1:1.5 と算出できます。(L=ALvalue*N^2で定義される) ★各々の違い★ a.フライバック整流 整流電圧は Vout x (NC÷NS) [V] NC=LC巻き線の巻き数,NS=LS巻き線の巻き数。  特徴はVcはVoutに比例します。  過負荷でOCP動作に至りVoutが低下するとVcも下がりVoutは間欠する。  前記で算出された巻き線比から Vout=20[V]ならば Vc=20 x 1/1.5=13.3[V] Vout=13.8[V]に設定すると Vc=13.8 x 1/1.5=9.1[V]   *************************************************************************   結果 Vcは起動停止電圧に対してマージン不足となり ICは能動,不動を繰り返す ************************************************************************* b.フォワード整流   整流電圧は Vin x (NC÷NP) [V] NC=LC巻き線の巻き数,NP=LP巻き線の巻き数。     (VinAC100[V]時の整流電圧は約130[V]と仮定)。  特徴はVcはVinに比例します。  前記で算出された巻き線比から  Vc=130 x 1/9.2=14.1[V]   *************************************************************************   結果 Vcは起動停止電圧に対して十分なマージンがあり ICは能動状態を維持 ************************************************************************* VcはVoutに影響されず入力電圧に比例します。  結果過負荷でOCP動作に至りVoutが低下してもVoutは間欠しません。  過負荷時の各部品のストレス度はフライバック整流時と異なるので  安全上再評価が必要であり なるべく過負荷を避けて下さい。 B改造 1.トランスを取り外してNC巻き線の配線をクロスさせてピンに取り付ける (同巻き線の外側ピンにショートリングもどきの配線がきているが そのままとする。) 2.R22とR22aの上に各々10[Ω]を載せて半田する。(Vc電圧が適正となります) 3.R37 470[Ω]に変更(フォトダイオード側電流の最大値をオリジナルに合わせ る) 4.R46=10[kΩ],R47=2.2[kΩ]に変更(Vout=13.8[V]の場合) 5.Zd=RD18FB1に変更する (Voutに過大電圧が出たとき17[V]程度でクランプ) 6.ダミー抵抗=1.5[kΩ]を追加取り付ける。